館林市(たてばやしし)は、群馬県の南東の端で栃木県と埼玉県に接する、人口約7万3千人の市です。上毛かるたで「鶴舞う形」と表される群馬県の頭部に相当し、 東武鉄道や東北自動車道を利用すれば都心から約1時間という交通利便性を誇ります。 市内全域が渡良瀬川と利根川に挟まれた平坦地で、日照時間が長く寒暖差の激しい内陸性気候が特徴。冬は乾燥した「からっ風」が吹き抜け、夏は全国有数の高温地域としても知られます。この豊かな平野部に点在する城沼・多々良沼・茂林寺沼は、人々の暮らしや歴史と密接に関わってきた「里沼(さとぬま)」として、文化庁の「日本遺産」に認定されています。また、城沼の畔に広がる「つつじが岡公園」は、上毛かるたにも詠まれる関東有数のつつじの名所です。 古くから肥沃な土壌を活かした麦作が盛んで、製粉業の発展とともに「館林のうどん」をはじめとする豊かな麺文化が花開きました。現在も「100年フード」に認定されたうどんをはじめ、キュウリやナスといった施設園芸農業も盛んな、歴史と食文化が息づくまちです。
館林市ってどんなところ?
三つの沼が育んだ「里沼」の文化
館林の魅力を語るうえで欠かせないのが、城沼・多々良沼・茂林寺沼という三つの沼です。市は人里と自然が共生してきた歴史を「里山」になぞらえて「里沼(さとぬま)」と命名し、2019年に文化庁の日本遺産へと認定されました。
三つの沼にはそれぞれ固有の役割が与えられています。湿原の原風景と寺院の信仰が息づく「祈りの沼(茂林寺沼)」、豊かな水産資源や水運が暮らしを支えた「実りの沼(多々良沼)」、そして館林城の天然の要塞や花の名所を護ってきた「守りの沼(城沼)」。沼を中心に城が置かれ、寺が建ち、田畑が広がった水辺の景観は、いまも館林の街の骨格として色濃く残っています。
肥沃な大地が生んだ「麦と麺」の歴史
水に恵まれた館林の肥沃な土壌は穀物栽培に適しており、100年以上前から有数の麦作地帯として発展してきました。質の高い麦を育む風土は製粉業を定着させ、そこから独自の豊かな麺文化が花開くこととなります。なかでも代表格である「館林のうどん」は、地元事業者らで構成される振興会の尽力により、文化庁の「100年フード」(伝統の100年フード部門 〜江戸時代から続く郷土の料理〜 )に認定。地元産小麦を贅沢に用いた麺は、滑らかな喉ごしと柔らかな中に確かなコシを感じさせる絶妙な食感が特徴です。桐生の「ひもかわ」、渋川の「水沢うどん」と並び、群馬三大うどんの一角として全国の訪問者を魅了しています。
館林市のおすすめスポット

つつじが岡公園
城沼のほとりに広がる関東有数のツツジの名所です。園内にはヤマツツジやキリシマツツジなど約100品種・1万株以上が咲き誇り、なかには推定樹齢800年を超える古木群も含まれます。見上げるほどの高さを誇る古木の並木は圧倒的な存在感。上毛かるたで「花山公園つつじの名所」と詠まれた歴史を受け継ぎ、春の開花期には「つつじまつり」が開催され多くの花見客で賑わいます。

茂林寺
1426(応永33)年に開山された曹洞宗の古刹です。「分福茶釜(ぶんぶくちゃがま)」伝説の舞台として全国的に知られ、参道では愛らしい表情を見せる大小の狸像が出迎えてくれます。境内には伝説の由来となった汲んでも尽きない「紫銅の茶釜」が伝わります。境内の裏手に広がる茂林寺沼は、日本遺産「里沼」における「祈りの沼」として指定。豊かな自然が残る湿原には木道が整備され、穏やかな散策を楽しめます。

多々良沼
館林市と邑楽町にまたがる多々良沼は、日本遺産「里沼」において人々の暮らしを支えてきた「実りの沼」と位置づけられています。冬には多くの白鳥が飛来する渡り鳥の飛来地として有名で、沼の周縁には快適な遊歩道を完備。晴れた日には静かな水面越しに赤城山を望むことができ、四季折々の美しい景観が広がります。

館林城跡
日本遺産「里沼」において「守りの沼」とされる城沼を、天然の要塞として背後に活かして築かれた城郭の遺構です。狐が尾で縄張りを示したという伝承から「尾曳城(おびきじょう)」の異名も持ちます。のちに徳川5代将軍となる綱吉が城主を務めたことでも知られる幕府の要衝でした。現在は復元された土橋門や土塁が残り、城下町の風情をいまに伝えています。

田山花袋記念文学館
幼少期から少年期を館林で過ごし、上毛かるたでも「誇る文豪 田山花袋」と詠まれた小説家・田山花袋の資料館です。日本の自然主義文学を代表する『蒲団』や『田舎教師』をはじめ、館林を舞台とした作品の直筆原稿や書簡、愛用品などを収蔵・展示しています。近隣には移築保存された「田山花袋旧居」もあり、ゆかりの地を巡る拠点となっています。

向井千秋記念子ども科学館
アジア初の女性宇宙飛行士・向井千秋氏(館林市出身)が名誉館長を務める科学館です。館内には県内最大級のドームを誇るプラネタリウムを備え、迫力ある宇宙映像を鑑賞できます。月面の重力を疑似体験できる「ムーンウォーカー」などの体験型展示が充実しており、子どもから大人まで楽しく科学や宇宙の魅力に触れられる体験型施設です。
館林市の名物・特産品・お土産

館林のうどん
文化庁の「100年フード」に認定された館林の看板グルメです。地元産小麦を贅沢に用い、喉ごしの良さと柔らかな中に残る絶妙なコシが特徴。定番の細麺から幅広の麺まで店舗ごとに趣向が凝らされ、伝統の地醤油を使った風味豊かなつゆや、名物のナマズ天ぷらとともに味わうスタイルも親しまれています。

小麦
館林は古くから製粉の歴史が深く根付く「粉の街」です。近年は地元産小麦を「百年小麦」としてブランド化し、小麦本来の豊かな香りと風味が改めて高く評価されています。市内で手に入る「地粉」は家庭料理や手打ち麺に広く親しまれており、素材そのものの素朴な味わいを楽しめるお土産としても人気です。

きゅうり
全国有数の出荷量を誇る群馬県において、館林市は屈指の主要産地です。日照時間に恵まれた環境で育つキュウリは、パリッとした歯ごたえと爽やかな瑞々しさが魅力。イボが立った朝採れの新鮮なものは水分をたっぷり含み、生食はもちろん漬物や炒め物にしてもキュウリ本来の濃い味わいと食感が際立ちます。

なす
夏秋なすの出荷量で全国トップを誇る群馬県において、館林市は有数の産地として知られます。豊かな日照を受けて育つナスは皮が柔らかく、果肉がしっかりと詰まっているのが特徴。焼き物、煮物、揚げ物から漬物まで幅広く重宝され、夏から秋にかけての最盛期にはナス本来の深い甘みと旨みを堪能できます。

トマト
豊かな地下水と冬場の豊富な日照量に恵まれた館林は、県内屈指の「冬春トマト」の産地です。温室で太陽の光をたっぷり浴びてじっくり熟すため、糖度が高くジューシーな味わいに仕上がります。へたが鮮やかな採れたては甘みと酸味のバランスが抜群で、生のままでも加熱してもコク深い旨みを堪能できます。

いちご
豊富な日照と水に恵まれた館林では、群馬県生まれの人気品種「やよいひめ」を中心に栽培されています。上品な薄紅色をした大粒の果実で、しっかりとした歯ごたえと甘みの強さが特徴。果肉が崩れにくく日持ちが良いため、冬から春にかけての贈答品や手土産としても高い人気を誇る館林自慢の特産品です。

醤油
館林は古くから醤油の醸造が行われてきた土地です。良質な小麦と大豆、そして水に恵まれ、麦作の盛んな土地柄が醸造業とも結びついてきました。小麦を多く使う醤油は香りが立ちやすく、うどんのつゆとの相性もよいものです。地元の醸造元の品は、土産としても選ばれています。

麦落雁
館林で受け継がれてきた干菓子です。麦こがしに砂糖を混ぜ、型に押して固めたもので、麦作の盛んな土地から生まれた菓子といえます。口に入れるとほろりと崩れ、香ばしさが残ります。お茶請けによく合い、日持ちの良さもお土産として親しまれています。

ナマズ料理
二大河川と「里沼」に恵まれた館林では、古くから川魚を食す文化が根付いています。なかでもナマズは、江戸時代に城下町や茂林寺の参拝客へのおもてなし料理として親しまれてきた郷土の味。淡白でクセのない白身は天ぷらや伝統の「たたき揚げ」と相性が良く、老舗の川魚料理店や名物うどん店などで広く味わえます。
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